人身事故で君に会えない



タイトルは、

『オレンジトレイン/andymoriandymori - オレンジトレイン - YouTube

より歌詞を抜粋







 人身事故で電車が止まっている。私は今その電車の中にいる。15分は経っただろうか。もしくは、10分しか経っていないかもしれないし、ひょっとしたら30分くらい経ったかもしれない。
 前の席には、さっきから無心で腕時計を弄ってる婦人がいる。割かし綺麗目で清潔感がある婦人で、それでいてどこか奥ゆかしさもある。そんな婦人が無心に腕時計を弄くり回してる姿に、なんだか私はエロスを感じてしまった。
 電車の中は空いていて、まばらに席が空いてる車両の散り散りに人々が座り、それぞれがそれぞれの時間の過ごし方をしている。しかめ面でスマートフォンを弄っている、30過ぎたくらいのOL。本を読んでる中年の男性の隣には、対照的な今時の若者が虚ろな目で外に目を向けている。私とは言えばイアフォンから流れてくる陽気な音楽を聞き流しながら、人間観察をして暇を潰している。この中で一番の悪趣味は誰だろう。もしかしたらあのOLはスマートフォンでグロテスクな画像や動画をインターネットで漁っているのかもしれないし、中年男性の読んでいる本は幼女を強姦する内容の官能小説かもしれない。若者のトートバックの中には実は小型のダイナマイトが入っていて、これを持ってどこで爆発してやろうかと考えている最中なのかもしれない。ふと思い直して冷静になると、一番悪趣味なのはおそらく、明らかに私だなぁ、と思い、少し笑みがこぼれた。
 すこし目線をずらして優先席のほうに目を向けると、ぶくぶくに太った女がいた。大きめのスイカくらいの顔を、大きめのハマグリのようなサングラスで覆っている。おそらく産まれたての瓜坊程はある太い足を組み、携帯を弄っている。本当に、ぶくぶくである。この女の容姿をぶくぶくと表現しないのなら、私の人生でこの先ぶくぶくという表現は使わないだろうというべき太りようである。日本人、ないしアジア人は、世界的にみれば華奢な民族だ。外国人がひしめく六本木で仕事をしているせいで、日常的にアジア以外の外国人はよく見かけるのだが、そのたびにその民族の間にある体格差に驚かさられ、アジア人は結局、白人と黒人に支配される側なんだと思い知らされるときがある。
 そんな中、この女の太りようはなんなのだろう、アジア人の範疇を超えた太りようである。私はいつもこのように太ったアジア人を見て思うのだが、どんな生活をしてきたらそんなに太るのだろう。私は極端に痩せ型で、食べても太らない体質なため、わからないのも当然なのだが、この女の太り方は少し異常だ。加えて、女性だからこそ、疑問はさらに深まる。女性というのは世間的にダイエットを呪文のように唱えながら痩せよう痩せようとしているイメージがあり、男女共に、やはり女性は痩せているほうが美しいという概念は持っているはずである。なのにこの女性は太っている。どのような環境、意思を持ってこれまで生きていたらそのように太ることになるんだろう。これは罵倒や中傷ではなく、本当に、純粋な疑問である。








なんか村上春樹っぽくない?笑







まぁ、それは置いといて、ほんとに人身事故には困ったもんである約束にめちゃくちゃ遅れてしまったよどうしてくれんの。



こんなくだらない厨二病満載の文章書く余裕まであったよ。いらないよこんな余裕。でもやっと動き出して、電車を乗り換えることができた!よっしゃ!



ああいう文章を書いてて思ったけど、おれ、まだ村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』、まだ読んでる途中だったよ。読んであげなきゃなぁ、おれ、飽きっぽいから、いろんな本を読みっぱなしにしてる気がする笑。




あ、そろそろ目的地だ。